初めての小説書き方講座

処女作は短い作品に。

・最初からはりきり過ぎは厳禁!
 初めて小説を書く皆さんにとって、最初の作品は当然、処女作となります。これから執筆に挑もうとしている人の中には、「俺の処女作は、SFとミステリー要素を含んだ超大作ファンタジー小説にするんだ!」と鼻息も荒く意気込んでいる方もいるかもしれません。
 ですが、ここで一つ冷静になって考えてみてください。
 本当にあなたは、そんな長編作品を処女作として書き切る自信がありますか……?
 私個人としては、初めて小説を書く人の最初の壁は「処女作を書き切れるか」にあると思ってます。
 小説に限らず、一つの話を創り上げるのは、並大抵の労力でできることではないのです。それを今まで小説らしい小説をひとつも書いたこともない人間が、いきなり超大作を書こうとして、そうそう完成できるものではありません。中には、そういうことが可能なほど創作の才能に溢れている方もいるかもしれませんが、そんな人は、ほんの一握りの天才だけです。ですから、いきなり処女作でつまずきたくない方、この先も多くの作品を書きたいと思っている方は、無難に短い作品に挑んでみてください。
 それともう一つ。
 決して、処女作に完璧を求めないでください。
 処女作は、皆さんにとって最初の作品なのですから、出来が悪くて当然。それなのに、本として出版されているプロのような文章をいきなり書こうとしても、土台無理な話です。無理に完成度を高めようと途中で何度も書き直していると、いつまで経っても上手く書けないことに嫌気がさし、挫折の原因となってしまいます。文章力、構成力など、小説の執筆に必要な能力は、これから少しずつ高めていけば良いのですから、書いている途中で、どんなに「自分は下手だなぁ」と感じても、ここはぐっと我慢して、最後まで書き切ることだけを優先しましょう。例え短く未熟な作品でも、一つの小説を最後まで書き切ったという事実は、今後のあなたの執筆活動にとって大きな自信となるはずです。

・まずは短くシンプルに。
 さて、短い作品といっても、どの程度の長さかわからないかもしれません。具体的に言いますと、400文字詰原稿用紙10枚以上20枚以内程度の短編小説のことです。
 それにも満たないショートショート(400文字詰原稿用紙10枚以下)から挑むのも良いかもしれませんが、そちらはそちらで難しいものがありますので、ここは最初に書いた程度の長さに挑んでみましょう。この長さは、あくまで目安ですので、少々オーバーするのは一向に構いません。
 話の内容に関しては、どんなものでも良いですが、やはり最後まで書き切ろうと思うならば、自分が書きたいと思うもの、もしくは書きやすいものが楽です。例を挙げれば、身近な出来事、自分が好きなもの、などに注目した物語でしょうか。すき焼きが好きな人ならば、「家族内で、貴重な肉を取り合う姿」を大袈裟に描くコメディ作品……と言った具合ですね。
 
 最後に、私の書いた短編作品を三つほど紹介しておきます。
 長さや物語の内容などを参考にしてみてください。もちろん、話自体を楽しんでもらえれば、私がとても嬉しいです(笑)。

・「雨音」 (400文字詰原稿用紙16枚程度)
・「ヒトが最初に覚えること。」 (400文字詰原稿用紙10枚程度)
・「梅ノ木の笑顔に」 (400文字詰原稿用紙18枚程度)


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